ローマ人の物語〈10〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(下)
9~10巻はカエサル自身の著作『ガリア戦記』を軸に進められてきた。
まだ印刷技術のなかった紀元前1世紀に、この本を遠征先からローマに送り込み、手書写され、人々の目に触れさせることは、彼の策略だったようだ。
野心家のカエサルが待っていたのは、・・・・・「ガリア戦記という創作をする機会ではなかったか。ただし、国家ローマの将来に指針を与える「創作」を。(前掲書170頁)
戦略家・政略家として足かけ8年自ら役割を果たしながら、しかも主役を張りながら、著者として書き綴った。
この本は、その後の国の方針を作っていくための楔(くさび)とし、羅針盤とすることを最初から考えていた。
国に関しても、会社に関しても、それから家庭でも、こういう確かな考えを持って、方針を示していくことが、組織の長には求められるんだろう。
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