さて、とうとうローマ人の歴史も終焉へ。
文庫本で43巻、たしか単行本で13巻、
千年余りに渡る1つの国の始まりから終わりへ。
「人気の高い流行作家に、出版社は、通史の執筆を依頼しない。なにしろ誕生から死までを書くのが通史だから、長い間には勢いの良い時代もあれば悪い時代もある。ところが、勢いが衰えた時代では読者も読みたがらない傾向があり、結果として売れ行きが落ちる、ということになりかねないからである。
幸か不幸か一度として人気の高い流行作家になったことのない塩野七生という作家に対しては、出版社も、何を書こうが長く書こうが、地図などたくさん載せるために価格が高くなろうが、一切関与しなかった。そこそこの売れ行きだろうと思っているから、口を出してこなかっただけである。・・・・・
これからあなたが読むのは、情けない時代のローマ人の物語である。それでも放り出さないで読んでくれたとき、あなたは初めてローマ人の死を看取った、ということができます。」(42巻 カバーの金貨について)
扉書きからの長い引用だったが、とてもこの文章が好きになってしまった。
本の流れから見ると、すでにローマ人の国と言える西ローマ帝国は42巻で滅亡を迎えてしまい、
現在は敗戦処理とも呼べないような、淡々としたその後の地中海世界を読んでいる。
人の人生を考えても、何かを最後までやり抜くこと、潔い死を迎えること、その死や終わりを周りが受け入れることは、想像以上に難しいことが結構ある。
こういう作品を通して、心構えと精一杯生きる勢いを得たいものだ。
「死を看取る」への1件のコメント
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とても興味深いです。いつか読んでみたいなー。確かに、43巻は長いね。読むのも長いけど、書くのにはどれぐらいかかったのだろう。オーソンスコットのエンダーズゲームを全巻ぶっ通しで読んだことがあったけど、それ以上の長編だね。達成感あるでしょうね。