“教科書通り”への反発と
“独自”への固執と
◇ 具体事例/事象
当時中学生の生徒さん、
幼い頃から親類など周りからも「天才」ともてはやされるくらい、
特に言葉の面では口が達者で、頭の回転が速い。
自分でもどこか「自分は天才」だとずっと思ってきたようです。
実際、超有名私立小学校へのお受験も見事合格し、そのブランドの中ですくすくと成長し、
運動神経もよかったので、スポーツに打ち込んできました。
ところが、学年が進むにつれて、授業内容が理解できない自分、
点数が取れていない自分に気づき始めます。
でも、「自分は天才」という以前からの考えも捨てきれないので、
現実と頭の中の世界とのハザマで、だいぶ苦しんでいるように、傍からは見えました。
「自分は天才」が顕著に現れてきていたのは、例えば数学の解き方。
自分で考え付いて、こうだろう、こうやればいいんだ、と決めつけて立式や計算を進めます。
とてもセンスを感じさせるところもあるので、正解にたどり着くことももちろんあります。
しかし、残念ながら、ものすごく回り回って解いているので、とてつもなく時間がかかる。
そして、苦労している割りに正解率が上がらない。点数が思っていたよりはるかに低い。
そんな状況が重なっていくと、一番よくないことに、
「なんでこうなるんだろう」という、やり場のない落ち込みと、自分の解き方への固執が強くなるのと、自分への自信の低下に陥る状況でした。
そもそも、日本の教育の問題点として、
出題者が想定している、たった1つの正解を導き出すために、
最短で効率のよい解き方を覚えさせて、それができるかどうかを見る、
という評価方法を長く取ってきたため、
この道から1歩でも外れたり、回り道をしようものなら、「あなたはできない子」と学校から評価され、
家でも、社会でも同様の評価をされることが圧倒的に多かったわけです。
これでは事例のような生徒さんの成長は妨げられ、
自尊心の低下といった事象が起きてしまうのは想像に難くないでしょう。
◇ 生徒の対策
- (正解と合っていても合っていなくても)
まずは自分なりの解き方が考えられたこと、もし答えまで出せたならそこまでを自分で認める。
「できた!」と口に出したり、やったー!ポーズやガッツポーズをする。 - 別の解き方があることを認め、耳を傾けて、少しずつ理解しようとし、またその解き方で解いてみる。
◇ 講師、親御さんの対策
(生徒本人が、上記の「生徒の対策」が取れるようになるために)
- 答えられなくても、間違えても、ため息をついたり、「なんでできないの!?」と非難したり、
すぐに解答を言わない
⇒大人のこの反応が、生徒さんの思考と手が停止させ、やる気を削ぐ原因! - 自分なりの解き方を持ってきたときは、たとえ、ちんぷんかんぷんでも、考えてきたことを、
できるだけ具体的に認める。
「答えまで出せたんだね」
「こういう風に考えてきたんだね」
「そういう考え方もあるね」 - (見つけられたら)正解に近づけそうな部分を見つけて指摘してあげる。
「ここの考え方は正しいね」 - 独自の方法と、教科書の方法を、よーいどん!でスピード競争。解き始めてから、解き終わるまでのスピードを比べてみる
⇒ 単発ではなく、継続的にこのようなやり取りを、地道に続けていくことが大切です
◇ まとめ
具体事例に挙げた生徒さんに、上記の対策を地道に、
しかし、つまらなくならないように小話をはさみながら、
また、1回の集中時間を15分より長くならないように区切りながら、
そしてバリバリのアスリートなので、解く時間のスピード競争を多用しながら学習を進め、
徐々にですが、他の解く方法があるという認知や「そっちの方が速くてシンプル」と気づけるようになってきました。
特に、中3後半は、内部進学がかかっていたこともあり、
見事な集中力と、自分なりに解き方をまとめる方法も考え出して、
一時は危ういとされていた進学の権利を見事につかみ取りました!
最も大切なことは
・個々の思考スピードや考え方の癖、得手不得手に寄り添う
・自然な励ましや声掛けを続けながら、気持ちが盛り上がってきた時をとらえる
(怒りの感情を示すのはなし)
ことだと思います。
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タグ: LearningCenter, StudyCenter, やる気マイナス, 学習障がい, 発達障がい
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